【平成23年3月号】

早いもので、もう3月。雪が徐々に解け、春が少しずつ近づいていますね。私の本州の友達からは梅のたよりが届いてきました。この時期北海道は道路が雪解けで汚くなりますが、実は私の好きな時期でもあります。河川敷のネコヤナギが芽吹き、川流からもやが立ちこめる風景に春を感じ、日差しが暖かくなるのつれ、わくわくしてきます。「今年はどこで福寿草を最初に見つけるか。」なんて楽しみにしているんですよ。福寿草を見つけられた方はそっと教えて下さいね。
縫合糸反応性肉芽腫ってご存知ですか?数年前から獣医系の学会や論文で多数症例報告があがってきています。どのような犬種でも起こりえる病気ですが、ダックスフントが特に多いようです。
手術を行うにあたって、さまざまな場面で外科用の縫合糸が必要になります。どのような素材の縫合糸でも生体にとっては「異物」という事になりますので、組織反応が起きることになります。
この組織反応が過剰になり肉芽組織ができてしまった物を縫合糸反応性肉芽腫と呼んでいます。この肉芽腫の程度や発生部位によって様々な症状を呈します。肉芽腫から連なる瘻管が皮膚に開口し、液体が漏出したり、内臓を巻き込んだり、消化管を巻き込んで腸閉塞になったりと様々です。
対処法は、肉芽腫と残存する縫合糸を除去する手術を行うしか、根本的解決方法はありません。手術困難と判定された場合はステロイドをはじめ、免疫抑制剤などを継続的に投薬して反応を観察していく事になります。

縫合糸肉芽腫の原因となる糸としては外科用の絹糸が筆頭にあげられます。当然手術の時は滅菌して使用されるのですが、何年たっても生体内に残存するという特性をもっています。この非吸収性の性質が過度の組織反応を引き起こしていると考えられます。10年ほど前まで当院でも絹糸を使用していました。
最近ではいわゆる「溶ける糸」合成吸収性縫合糸が用いられる事が多くなっていますので、もし吸収糸による強い組織反応が出たとしても、その糸が生体内に吸収されてしまうまでの期間なんとかしのげれば大事には至らないと言うことになります。
しかし、理想としては体内にできるだけ異物である糸を残さない手術(無結紮手術)をした方がいいでしょう。
当院では太い血管は安全性のことを考えナイロン糸で結紮して、その他多くの場面では吸収糸を用いています。また2008年から超音波メスを導入して腫瘍など大きな手術の際には使用しています。直径5mmぐらいの血管なら糸を使わなくても血管を離断できます。特にダックスフントの去勢・避妊手術にも今後応用して行こうと考えています。超音波メスを希望の方はスタッフまで申し付けください。
グラコム3月号掲載記事 國分獣医師が執筆

3月といえば、卒業シーズンですね。私のイメージでは卒業=『涙』という印象が真っ先に浮かびますが、皆様は卒業といえばどのようなイメージが浮かびますか?
さて、今回はそんな『涙』にまつわるお話をさせて頂こうと思います。
ウサギさんを飼っている方はご存知だと思いますが、360度の視野を持つウサギの眼球は頭部の側面に位置し、前方に出ています。この特徴のため、引っ掻いて自分で傷付けてしまったり、敷材に使用する牧草で眼球を傷付けてしまうことが比較的多く、眼球表面に生じた傷により涙が過剰に分泌されることがあります。

もう一つの特徴として、ウサギの瞬きの回数は犬猫に比べ、ずっと少なく1時間に10-12回程度であるといわれているのはご存知でしたか?瞬きの回数が少ないのは分泌される涙液が脂分に富んでいるからといわれています。
この分泌された涙液は鼻涙管を通じて排出されますが鼻涙管は前歯(切歯)や奥歯(臼歯)に隣接した場所を通過するため、歯にトラブルが生じた際にもこれらが原因となって結膜炎や涙嚢炎といった病気が発生し、涙の原因となっています。
実際の診療現場では飼い主様の訴える涙目や目やにの原因の多くが眼だけの問題ではなく歯のトラブルに関連しています。このため、涙目や目やにが主訴で病院に来られた場合でも必ず口腔内の歯が伸びていないかどうかチェックするようにしています。
またウサギの歯は根元に向かって伸びることもあり、これらは見た目だけでは分からないので、場合によっては歯のレントゲンを撮らせて頂き確認することもあります。
口腔内もしくは根元に向かって歯が伸びた場合、痛みを伴いますので硬いフードを好まず、柔らかい食餌だけを選んで食べるようになり、歯の伸長がみられると、ほとんどのケースでよだれの量が増え、あごからくびにかけてよだれが流れ落ち脱毛や皮膚の炎症を引き起こします。
また、口痛により前肢で口元を抑えるため前肢内側にも脱毛や炎症が起こります。さらに歯の障害によって自分で毛づくろいが出来なくなり、盲腸便といわれるウサギが食糞する便の処理も出来なくなるために肛門周囲が便で汚れ全身の皮膚状態が悪くなります。
このように、涙や目やにといった一見、眼のトラブルかと思うような場合でも実際はその他の原因により生じている可能性も隠されているため、全身をチェックすることは欠かせません。一見、元気そうにみえてもお家のウサギさんに涙や目やにがみられる場合、一度受診されることをオススメします。
「國分先生には2、3月 うさぎに関するコラムを書いていただきました。いかがでしたか?」

年度末の3月は、獣医師会などの会議が多く院長不在の時間・日が多くなります。申しわけありませんが、ご了承ください。詳しくは別刷りの院長不在表をお持ちください。
また、人の出入りがあり獣医師が少なくなりますが、今まで以上に動物たちの病気の予防・治療のお世話をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。